主人公は誰だ?

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「──なにそれ」  木と話すなんて馬鹿げている。一樹の見間違い、聞き間違いではないだろうか。 「ほんとなんだって。御神木にぺこぺこ頭さげてよ、ぶつぶつ話してたんだ」 「御神木だから、お祈りでもしてたんじゃない?」 「だーかーらー、それが変だって言ってんの! おれ、思うんだけどさ、外で笑うのって木に関係があるんじゃね? 笑い声を木に聞かせて……木がそれを栄養としてるとか」  教室についても一樹のは止まらなかった。  せっかく笑うことで心をすっきりとさせたのに、一樹のせいで台無しだ。心に薄い靄が張り不安定に揺れている。 「一樹、掛け肥って知ってる? 植物って声をかけてあげると早く成長するらしいよ」  だから、先生たちが御神木に声をかけていたとしてもおかしくない。笑い声を聞かせているのだとしてもちっとも変じゃない。  そんな想いをこめて言ってみたのだが、一樹は頑として納得しなかった。
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