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「それ本当の話?」
「本当。でさ、そう考えるとおれら人間も植物にとっては敵みてぇなもんだろ。木を切ったり、花を切って売ったりするんだから」
天敵を呼び寄せる。さっき一樹はそう言った。
だとすれば、人間の天敵は──。
「こっから先はおれの想像だけど、実はこの世界の主人公が人間じゃなくて植物だったら?」
「えっ」
「植物が生きるために人間が存在する。そして、人間の出すエネルギーがやつらの一番の栄養だったらどうよ? だから、おれたちは毎日おかしくもないのに笑わされ、そのエネルギーを吸い取られていて……大人たちはそれを知っているとしたら? この世界を牛耳っているのは人間じゃなく植物で、もっとエネルギーを寄越せ、さもなくば破滅させるぞって脅されてるとしたら?」
一樹の言葉がひたひたと心に浸透し、えもいわれぬ恐怖が込み上げてくる。すぐそばにある街路樹が聞き耳をたてているようで恐ろしい。
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