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会議室のような一室に人々は集まり、映画のスクリーンのような巨大な映像を見ていた。部屋の外には濃紺の宇宙空間に星々が煌めいている。
「それでは皆さん、これが2030年の地球の映像です。ご覧ください」
進行役の女性が話している。
そこに集まる人々はあらゆる惑星からやって来た地球を愛する宇宙種族達。“地球を守る会”のメンバーだ。
映し出されていたのは地球を乗っ取りたいと企む闇の宇宙種族達が支配している世界。
人々の記憶を吸い取って操り、病気だと言っては薬を与え、地球人は正常な人間がほとんどいなくなってしまっていた。
「ひどい!」
誰かが叫んだ。
辺りは重い空気に包まれる。映像は終了し、進行役は再び話し始めた。
「……地球では現在西暦2000年ですが、このような悲惨な未来が地球にやって来ます。この未来を変えて行く為に皆さんにご覧頂きました。さて、皆さん。地球を助ける為に地球に産まれませんか? 転生を志願する方は名乗り出てください」
しばしの静寂が辺りを包みこんだ。
「私、地球へ行くわ!」
最初に名乗り出たのは天使系宇宙種族のアンナだった。澄んだ声が響き渡る。
(あ、あれは……私?)
「え? 行くのかい? アンナ?」
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