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今は、もう秋。
セグロカモメのトフミは、もう誰も居なくなった海岸の上空を飛び回っていた。
「例年は、海水浴客の残したゴミがそのまま残っていたけど最近は人間のボランティア達が片付けてくれる。
しかし、それでも残っているけど・・・逆にあの海水浴客達が思い思いで楽しんできた証なんだ。
本当に逆に寂しくなるねぇ。」
暦は秋でも、太陽はまだ真夏のまま。猛暑を海岸に照りつけている。
カモメのトフミは今は片付けられて小屋と化した海の家の上に留まり、今年のこの夏の海岸の想い出に浸っていた。
「今年の俺はこの海岸でいっぱいヤンチャしたなあ。
例えば客の弁当から食い物をくすねたり、熱い人間のカップルや子供にちょっかい出したり。
ホントに俺はイタズラカモメに終始したなあ・・・
あれはあれで愉しかったな・・・」
カモメのトフミは何度も打ち返す波しぶきを見詰めていた。
ざざーーーーーーーん・・・
ざざーーーーーーーん・・・
ざざーーーーーーーん・・・
ざざーーーーーーーん・・・
「波の音を聞くと、また真夏の海水浴客でごった返す賑やかな海を思い出すなあ。」
カモメのトフミは、センチメンタルな感情にしばし浸った。
ざざーーーーーーーん・・・
ざざーーーーーーーん・・・
ざざーーーーーーーん・・・
ざざーーーーーーーん・・・
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