23人が本棚に入れています
本棚に追加
「試しにレベル、見てみたら?」
ジュピアに勧められ、ゲーム内でキャラたちが行っていたように、腕輪の紋章を上に向かってなぞってみる。
シュン、という機械的な音がすると、目の前に薄く緑に色づいたディスプレイが現れた。
「これは……」
ゲーム画面そのものだ。プレイするときにキャラのデータを見るページがあるのだが、それがそのまま目の前にあるという感じだ。
一通り目を通してみると、左上に「レベル」と題された部分があることに気が付いた。
「レベルはここから見るのか?」
「えっと……?」
ジュピアに尋ねると困ったような顔をした。何故。
「この画面の、左上のところに『レベル』と書かれた部分があるだろう?そこを押すのか?」
説明が足りなかったかと思い付け足してみると、ジュピアはまたもはて、と首をかしげた。
「ごめんキティー、説明不足だったね。その画面、本人以外見ることができないようになってるんだ。だから、画面のことを言われても、私見えなくて」
「なるほど、そうなのか」
プライバシーは確保されるということか。それはなかなかありがたい。
「とりあえず、気になったら開いてみるといいよ」
彼女のアドバイスに従い、恐る恐るその部分をタップしてみる。すると不思議なことに、感触がなかった。
映画のスクリーンのように映しているのだろうか。感覚がないことから物体として存在はしないのだろうから、空気にでも映しているのか?
さすがはファンタジーの世界だ。私には理解できない。
ピン、という軽やかな音と共に、パソコンのタブのように新しいディスプレイが現れた。
そこには、『キュティナ・フレイム Lv.1』という、なんとも無情な言葉が並んでいた。
私はそそくさと画面を閉じ、くるりとジュピアに向き直った。
「自分のレベルも確認した上で一つ気になったのだが、ジュピアのレベルは一体何なんだ?」
使える魔法の範囲から、彼女のレベルいうのは聞かずともわかるのだが、念のため確認したかった。
最初のコメントを投稿しよう!