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「フレイム、家?」
「そうそう。火炎使いの。だって、髪の毛、赤毛じゃん。きれいなオレンジ色で、羨ましい」
「オレンジ……」
そういえば、今までずっと周りのことばかりで、自分のことにまで気が回らなかった。
フレイム家といえば、ヴァーミリオンで主人公を助けるキャラクターの一人が、この一族だった。
腰まである髪の毛を見ると、それはそれは鮮やかなオレンジ色をしていた。オレンジ色の髪は、フレイム家の一族だけだ。と、いうことはだ。
「いかにも、私はフレイム家の一族だ」
「今考え込んでたよね?」
変なところを気にする子だ。
「じゃ、名前はなんていうの?」
……名前?知らないぞ。今のところ分っているのは、私がフレイム家の人間ということだけだ。
「それよりも前に、キミの名前を教えてくれるかい?身元を知らぬ人に、名を明かせない」
考えた末、むこうの名前から教えてもらうこととする。
「それもそうだね。いいよ、私、ジュピア・アンクレジェット。雷使い。よろしくね」
ジュピア・アンクレジェット?
ジュピアといえば、ヴァーミリオンの女性主人公ではないか!
ヴァーミリオンはキャラクターの見た目や魔術だけでなく、洋服、アクセサリー、持ち物など、身の回りの品も変更できる。私も、自分好みのファッションをさせて楽しんでいた。
キャラは男性と女性の二種類があって、女性キャラのデフォルメで出ていた名前がジュピア・アンクレジェット。つまりあの少女の名だ。
「ジュピアか」
「そうそう!ジュピアだよ~。あなたは?」
彼女がジュピアとわかれば、私の名もわかる。
主人公の周りにいるキャラクターで、赤毛でフレイム家の少女。それはつまり…
「キュティナ・フレイムだ」
「キュティナ?わかった!」
キュティナ・フレイム。フレイム家の長女。センターわけにした前髪に、セミロングの赤毛。天然な主人公の突っ込み役としての役割もあり、多くのファンを魅了していた。
そうか、キュティナか。
ならば、この菰野原 輝菜、キュティナ・フレイムを演じきって見せよう。
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