1章.転生

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 しかしなりきるとはいえ、さすがに心まではキュティナになることはできない。技をだしたら、それっぽくなるだろうか?  私はゲームを遊び倒しているため、技の名前はすべて頭に入っている。  だがどうしたものか。  技の使い方がわからぬ。手を出して呪文を唱えれば炎が出るのだろうか?  とりあえず、手のひらに炎を出す呪文を唱えてみる。 「……フレイム」  そう一言唱えると、手のひらに温かいものが現れる感覚があった。 「わぁ!火だぁ!キティーすごい!」 「キティ―?」 「名前キュティナでしょ?なら、キティーっていう呼び方どうかなって!」 「ふむ、キティーか。中々いいんじゃないか?」 「でしょ?それにしても、炎きれいだね」  ジュピアが目を輝かせる。 「ならば、もっとすごい炎を見せてやる」  私はジュピアにそう言い放つと、彼女から数歩離れた。 「ブレイズ!!」  赤い炎が、大きく天に向かって羽を広げた。  ブレイズ。キュティナがゲーム内で強い炎を出すときに使っていた火炎魔法。MP消費数もほかの大型魔法よりかは少なく、中々の威力があるため、私も比較的たくさん使っていた魔法だ。 「わあっ……」  ジュピアが声を上げる。ジュピアの反対に炎をだしたため、火傷はないはずだ。 「熱くはないか?」 「キティーすごい!」  私の質問をまるで無視して、きらきらと瞳を輝かせる。 「こう、ぶわーって!空に向かって火が!すごい!」 「そうか、それは良かった」  これほど元気なら、少なくとも火傷はなさそうだ。 「ジュピアよ」 「ん?」 「君は雷使いなのだろう?魔法を見せてくれないか」  ヴァーミリオンの主人公。本人が目の前にいるのだ、彼女の使う本物の魔法が見たい。 「あー、それは」  ジュピアは、少々ばつの悪そうな顔をする。
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