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しかしなりきるとはいえ、さすがに心まではキュティナになることはできない。技をだしたら、それっぽくなるだろうか?
私はゲームを遊び倒しているため、技の名前はすべて頭に入っている。
だがどうしたものか。
技の使い方がわからぬ。手を出して呪文を唱えれば炎が出るのだろうか?
とりあえず、手のひらに炎を出す呪文を唱えてみる。
「……フレイム」
そう一言唱えると、手のひらに温かいものが現れる感覚があった。
「わぁ!火だぁ!キティーすごい!」
「キティ―?」
「名前キュティナでしょ?なら、キティーっていう呼び方どうかなって!」
「ふむ、キティーか。中々いいんじゃないか?」
「でしょ?それにしても、炎きれいだね」
ジュピアが目を輝かせる。
「ならば、もっとすごい炎を見せてやる」
私はジュピアにそう言い放つと、彼女から数歩離れた。
「ブレイズ!!」
赤い炎が、大きく天に向かって羽を広げた。
ブレイズ。キュティナがゲーム内で強い炎を出すときに使っていた火炎魔法。MP消費数もほかの大型魔法よりかは少なく、中々の威力があるため、私も比較的たくさん使っていた魔法だ。
「わあっ……」
ジュピアが声を上げる。ジュピアの反対に炎をだしたため、火傷はないはずだ。
「熱くはないか?」
「キティーすごい!」
私の質問をまるで無視して、きらきらと瞳を輝かせる。
「こう、ぶわーって!空に向かって火が!すごい!」
「そうか、それは良かった」
これほど元気なら、少なくとも火傷はなさそうだ。
「ジュピアよ」
「ん?」
「君は雷使いなのだろう?魔法を見せてくれないか」
ヴァーミリオンの主人公。本人が目の前にいるのだ、彼女の使う本物の魔法が見たい。
「あー、それは」
ジュピアは、少々ばつの悪そうな顔をする。
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