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どのくらいそうしてただろうか。
絶対眠れないと思っていたのにいつの間にか意識が浮かんだり沈んだりして、少しずつ意識の境界線が曖昧になっていく。
(あ……落ちる)
その時だった──うっすらと開いた唇に冷たい衝撃が走った。
「──っ!」
慌てて口元を押さえながら起き上がると、よく知ってる瞳と視線が合った。
「えっ?」
「なに、その顔? てゆうか葵の用事って? 昼寝? 干からびる気?」
「な、なんで……」
「見えたから、葵が背を向けて屋上の方行くの」
「……っ」
拓海がふっと笑うと、俺の胸元にぶら下がっている『砂田』と記載された名札をピンッと弾いた。
俺がなんて言葉を返したらいいのか、目をぱちくりしていると拓海が持っていたソレを両手で持ちパキッと音を鳴らすと片方を俺に差し出した。
「やるよ、パピポのカルピスソーダ味。葵すきでしょ?」
「え……まあ。どうも」
「ぷっ、顔に出すぎ!……さっき見てたよね?」
「な……なにを、だよ……」
「安心して。上川さんの告白なら断ったし」
「えっ! ……なんで?」
思わず前のめりになった俺を見て拓海が笑った。
「なんでって……ふっ、その顔ウケるんだけど」
「は? ウケるって……お前な」
「あ、うまい。葵、溶けるよ」
拓海がパピポを頬張るのを見ながら、俺もパピポを口に含んだ。すぐに口の中に甘酸っぱい味が広がって火照った体にしみわたっていく。俺はパピポをあっという間に食べ終わると横に座る拓海を見た。
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