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「やっぱり桜にも彼氏がいるんじゃないか。あぁ…もうダメだ。」
「もう、お父さん、大袈裟よ。いいじゃない、二人とも幸せそうなんだから。」
絵に描いたように落ち込む父に母は呑気に返事をして、ワインを口にしている。
「お母さん、最初は真尋のことをあんな派手な子って言ってたのに。」
桜が両親には聞こえないように、ひそひそと菫に囁きかけてくる。
「最初の印象はでしょ。桜がこうやって逞しくなったのは、安藤くんのおかげだってお母さんは気付いているんだよ。」
「うん……菫ちゃんもね。」
「私も?」
「前にお母さん言ってたよ。菫は何でも一人でやろうとするから心配だって。一人で強く生きていくのは悪いことではないけど、もしそれが辛くなった時に話せる人がいてほしいって。家族はもちろん味方になるけど、そう言う人って家族以外に求めてしまうものだからって。」
「……。」
「だから宮田くんに出会えて良かったわってさ。」
「何それ……私、全然知らない。」
「そりゃ菫ちゃんには内緒って言われたもん。今、喋ちゃったけど。」
桜は小さく舌を出してからふふっと笑ってみせた。
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