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その夜、菫の部屋に桜がやって来た。お風呂上がりの桜は星柄のパジャマを着ていた。菫もこれから入浴の予定だった。 「桜、見たわよ。あのパフェの残り。成海のやつ、本当にバカなんだから。松田くんもああ言う時、絶対に止めずに便乗するからなぁ……いや、でも、どちらが言い出したか怪しいけど。松田くんも成海に負けてないところあるし……」 「ふふっ。いいよ、いいよ。私も真尋も楽しめたもん。」 桜は「これあげる。」と、菫にプレゼントを渡した。 「私から。お父さんとお母さんにもって行かれて、渡せなかったから。まさか参考書とお守りもらうとは思わなかったもん。」 「私も中身を見た時、絶句したわ。まぁ、父さんと母さんならやりかねないけど。」 菫も桜に綺麗にラッピングされたプレゼントを渡した。 「誕生日おめでとう。」 「菫ちゃんも。おめでとう。ねぇ、開けていい?」 「もちろん。じゃあ私も。」 ラッピングの包装紙の色や柄は全く違った。掌に乗るぐらいの四角い箱ではあったが。お互いに箱を開けて、 「シンクロだ。」 と同じ言葉を発していた。
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