61/122
前へ
/147ページ
次へ
**** 4月の3連休も5月のゴールデンウィークも桜は家でカップケーキを作るか、塾に行くかの生活を送っていた。 「デートとか行かないの?」 と、母親に尋ねられたので、「受験生だもん。」と言い返しておいた。 菫ちゃんは4月に宮田くんと誕生日のお祝いデートに出掛けていた。テーマパークに行って、そこのキャラクターたちにも一杯おめでとうを言ってもらって、そして、晩ご飯に宮田くんの働くバイト先の店長オススメのステーキ屋さんで、お肉をお腹いっぱい食べたそうだ。店長の紹介ってこともあって、二人のために特別に個室の席も用意してくれたお店で。 誕生日には美味しいお肉だよねと二人で盛り上がったことがあったらしくて、宮田くんが店長に相談してそのお店になったそう。 それ以上の話を菫ちゃんは恥ずかしがって自分にはしてくれなかったけど、プレゼントには普段使いもできるハンドバッグもらっていた。大学生になったら絶対に使えるやつ。20代前半の女子に人気のブランド物。 宮田くんはそういう物に詳しい。バイト先に大学生がいるのもあるだろうけど、感性と直感が優れているのだと思う。女の子の喜ぶ物が悩まなくても分かるのだ。 でも、夜は我が家での約束の一つ、門限22時をきちんと守って送って来てくれた。22時が早いか遅いかはさて置き、宮田くんはそう言うところでも菫ちゃんを守っている。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

142人が本棚に入れています
本棚に追加