優しい観客と記憶の恋音

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「⋯ぱい、麻美先輩っ!」 誰や、この声⋯。 ああ、理香(りか)か⋯。何や、うるさいなあ。私は早馬先輩との良い想い出を掘り返していたいんよ。起こさんといて⋯。 「先生、先輩が起きた! これでもう大丈夫なんですよね!?」 「まだ意識朦朧としてますから。ゆっくり声をかけてあげてください。(おい)(かわ)さん、ここがどこか分かりますか。病院ですよ」 病院? んぁ、何や肩が痛い⋯。動けへんし。声も出えへん。 「先輩、良かったぁ! ()()のこと通報しときましたから! 警察にも話しておきました。すぐ捕まります。安心してくださいね!」 だから、ミサって誰やねん。 何で琴吹(ことぶき)利奈(りな)の顔が浮かんでくるんや⋯。 ああ、そっか。矢で撃たれたんやっけ。それで肩が痛いんか⋯。 それよか早馬先輩、もっかい会いたい。 めっちゃ胸が痛いんよ。 夢でいいから、 私のこと抱きしめて──。 お願いや、 私にもっと、 優しゅうしてよ──。 おわり
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