優しい観客と記憶の恋音

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翌日、通り魔の犯人は捕まり、テレビでしきりに報道しとった。 私はそんなもの見る気もせんで、ただただ部屋で泣き濡れるばかりやった。 あのとき、私が周囲を見とれば──。 もっともっと、 周りに目を配っとれば──。 悔いても悔いても、早馬先輩には二度と会えない。 先輩は出血がひどくて、私を庇ったがために、消えてしもうた──。 何でや、何で私が生き残ったんや! 先輩には未来があった! 約束された明るい未来があったのに! そんな後悔が渦を巻き、心を閉じ込めてしまった私。 どうやっても眠れず、虚ろに生きる日々。 結局、オトンが見つけた精神病院に入院することになって、生徒会の仕事も引き継がず、私は被害者的な立場で学校を去ったんや⋯。
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