戻ってきた剣の女神

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分かったのは、日記を手に入れたのが遅かったためか入団した経緯や理由は書かれていないということ。そして彼女の思ったこと考えたことが書き殴られていて日記というよりは…なんだ、よく分からないものに成り果てている。そして確かに美帆はオスカーを執拗に追いかけ回し迷惑をかけていたようだ。これはクラティナも薄々気付いていたが頭を抱えざるを得なかった。 しかしお陰で朧げながら自分が置かれた状況は何となく理解出来た。 今までの悪行は自分がやった事ではないので謝りたくは無いが、これ以上迷惑をかけないよう対処は出来る。 ___要は、今までと反対の態度を取ればいいわけだ。 まず、極力オスカーには近付かない。話しかけない。関わらない。 害意も好意もないことを行動で示めせばいい、シンプル且つこちらもストレスが少ないので助かる。 そして第二を立て直しつつ、情報収集…か。 ただ、あまり騎士団の連中と深い仲になるのは宜しくない。落ち着いたら団を抜けるので余計な情は自分のためにならないだろう。 ハートマークが羅列されたページをペラペラと飛ばし読みしていると、ふと手が止まった。何やら面白いことが書いてある。 ___おすかー様右の鎖骨に小さなほくろがあった!可愛い可愛い可愛い♡♡ ……ああ、違う。これじゃない。 ___そういえば、最近何もしてなくて団長を辞めさせられちゃいそう。当たり前でしょ、ノリで着いてきただけなのに何すればいいのか分かんないもん。私が悪いの?剣なんて持ったことすらないし、何より運動得意じゃないし。どこどこのお偉いさんの人が(官僚?みたいな人だと思う。分かんない。官僚ってあるのかな)アステールさんのお手紙を持ってきた。こっちの字、読めるし書けるけどやっぱり日本語が落ち着く。けど変な文字書いてるって言われたら怪しい人みたいになっちゃうから注意だね。 「アステール……………は、なるほど」 懐かしい名だ。なるほど、どうやって騎士になったのかも薄らと想像出来た。恐らく、アステールの推薦によって試験やらなんやらを免除され団長職に就いたのだろう。 「詳しく聞く必要があるが…まあ、それは最優先じゃなくてもいいか」 とりあえず、一歩大きく前進した。 確かな感触を握り締めて、腹が鳴るのも気にせず目を瞑る。 思ったよりも疲労感が溜まっていて、すぐにクラティナは寝落ちてしまった。
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