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前編
小瓶の蓋を開けると、甘い香りが部屋に広がった。
「これが、オメガのフェロモンの香りなのかな」
芦田郁人は薔薇とバニラを混ぜたような、甘ったるい香りにくらりと眩暈を催した。
「本当に、これでオメガを疑似体験できるなら……」
手に持っているのは、ベータの友人から強制的に渡された【オメガの疑似体験ができる媚薬】だ。
薄いピンクの液体を上から覗き込むと、オーバーに喉仏を上下させ、その液体を半分だけ飲んだ。
十五分ほど経った時、体に異変が現れた。
「あ、始まった……」
心臓が激しく伸縮し始め、顔は火照ったように暑い。
腹の奥が疼き、孔の奥がジワリと濡れたように感じた。
「これが……オメガ……?」
呼吸が荒くなる。郁人の中心は、既に屹立している。
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