121人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「で、しずく、何作ってくれてたの?」
斗眞くんのお陰で、
やっと泣き止んだ私に、尋ねられた。
「ぅ、えっと、今日は水飴作ったの。なんか、
私と斗眞くんみたいで、作ってみたくてっ、」
お兄ちゃんに、
食べられちゃったからもうないけど......っ。
思い出したら、悲しくなってきてしまう。
お兄ちゃんなら気づかないのに.........
「しずく、泣きそうな顔すんなって」
泣きそうな顔に気づいて、
ポンッと私の頭に手を乗せてくれる斗眞くん。
お兄ちゃんと同じ高校3年生なのに、
優しくて、大人で頼りになる......そんな男の子。
いつまでもこのままじゃ、
ダメって分かってるから............
「.........っ、ぅ、斗眞くんっ、私っ。
いつまでも......っ、弱くてごめんね、」
気がついたら、そう口にしていた私。
最初のコメントを投稿しよう!