23.夕焼けチャイム

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23.夕焼けチャイム

茂みの中をいくら探しても見当たらない。  僕は人間の姿になり、昨日夜に通った道を、明るい昼間の時間にたどっている。 「諦めろよー、ゴミと間違えられて持ってかれちゃったんだってきっと」 狼狽しながら牧瀬家を出て行こうとした僕を心配して、同じく人間の姿になったレオンがついてきてくれている。  だけど、レオンは一応周りはきょろきょろ見渡すものの、小一時間探しても見つからないこの状況にすでに諦めムードのようだ。 「いいよ、レオンは帰りな。僕はもうちょっと探す」 昨日秋山に保護されたあたりの茂みを掻き分けながら、僕はレオンの方を見ずにそういった。ここを探すのは5度目だ。 「おまえな、昨日変な奴に連れてかれそうになったんだろ?また会ったらどうすんだよ」 レオンはため息混じりに僕の背中にそういった。振り返ると彼はズボンのポケットに親指を掛けて、まるで人間みたいにだらしなく立っている。  僕はツンと口を尖らせて、鼻から息を吐いた。 「別に平気、昨日はお酒飲んで、ちょっとふらふらしてたけら上手く立ち回れなかったけど、もう大丈夫」 ぶっきらぼうにそう告げると、また目の前の茂みに向き直って、植栽をガサガサと掻き分けた。 「ほーん、じゃ、俺帰るね」 背後でレオンの声がする。  僕はぐっと詰まりかけた喉を抑えた。数秒置いて、振り返る。レオンはまだそこにいた。 「帰っちゃうの?」 僕が尋ねると、レオンはまたため息をついた。 「夕焼けチャイムが鳴るまでな、鳴ったらラーメン食べ行こう」 「うん、わかった」 結局、チャイムが鳴って、日が暮れるまで粘ったけど、シューズはどこにも見つからなかった。  僕とレオンは、そのままお店でラーメンを食べて、とぼとぼと牧瀬家へと帰った。
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