7.そんでそんで?!

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7.そんでそんで?!

「まったく、迂闊なヤツだなお前は。門限遅れるなんて初歩的なミスだぞ」 慰めにきたと思ったら、レオンは僕の寝床に潜り込むなりそう言った。  ぎゅうぎゅう寄り添いながら、僕の体に顎を乗せて、顔をゴシゴシ擦っている。  レオンは僕の従兄弟だ。同じ三毛猫の雄で、僕と同じように人間になるための訓練中。  小さい頃からよく一緒にいる。そのせいか、レオンは僕に対して無遠慮な物言いをする。 「ほんで?吉良ってやつとはどうだったんだ?」 レオンに聞かれて僕は吉良くんとの出来事を思い出してガバリと頭を上げて体を起こす。  乗っかっていたレオンはそのせいでクッションの上を背中から転がった。 「すごいよ!家行った!」 「ほお!そんで?」 「そんで、鼻をくっつけた!」 「ふんふん、そんで?」 「あと、口も、くっつけた!」 「うわぉ!そんでそんで?」 「そんで……」 僕はその後のことを思い出し、ちょっとばかし恥ずかしくなる。  この部屋には僕とレオンしかいないけど、レオンの耳にそっと口を近づけて、ごにょごにょと小さな声でことの次第を説明した。 「まぁじっ!ツナ、やるじゃんか!」 「へへっ、僕もびっくりしたけど、仲良くなっちゃった」 「すごいすごい!そんでそんで?!」 「そんで……そんで?」 次の言葉を期待しているのか、目を輝かせたレオンに、僕は二回ほど瞬きをした。 「それで、終わりだよ」 「は?」 レオンは片方の口の端を持ち上げ、白いお髭が斜めに揺れた。 「その後があるだろ?付き合うとか、恋人になるとか、結婚するとか!」 レオンの尻尾が動いて、クッションを叩いて、パタパタと音が鳴っている。 「なってない、恋人……結婚するかどうかも、聞いてない!!」 僕は大事なことを忘れていたみたいだ。背中の毛がぼわりと膨らんだ。 「はぁーあ、まあ、ツナらしいっちゃらしいけどさー」 「どーしよ!レオン!」 「どうしようもなにも、その吉良ってやつにもう一回会って聞くしかないだろ」 「結婚しますかって?」 「おうよ」 そうか、レオンの言う通り、今日は帰りに慌てて聞きそびれてしまったけど、ちゃんと次に会った時に聞けば大丈夫だ。  あんなに仲良くしたんだし、僕は吉良くんとパートナーになれるはずだ。
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