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伊藤真知16歳
真知は、友人からは”マッチン”と呼ばれている女子高に通う1年生。
運動能力と勉強は人並み、性格にはちょっとだけ個性はあるが、まあ友人を失うほどではない。
特徴と言えば、細身で背が高いことだが、まあまあこれも一般的な女の子の範囲内に収まってはいる。
そんなほぼ一般的な真知ではあるが、彼女には絶対に譲れないものがあった。
それは、正義に対する忠誠心だ。
幼い頃から、アニメや特撮系、時代劇等の正義番組をこよなく愛してきた真知は、そのお陰で、すっかり登場するヒーローに感化されてしまっていた。
いつか自分もヒーローになって、悪人達をバッタバッタとやっつけてやりたい。そんな空想を常に描いているのである。
当然そんな真知の趣味は、アニメや特撮系、時代劇等の正義ものの鑑賞やものまねとなる。
特に正義のヒーローが、最終回に自分の身分をあかすシーンには憧れが強く、暇さえあれば自室でそのシーンの一人芝居にに酔いしれているのである。
そしてもう一つ、真知には現実離れしたヒーローの他にも興味を持っているものがある。それは、現実の人間の”筋肉”である。
それも、ボディービルダーのようなマッチョが大好きなのだ。
毎月発行される”ザ・月刊筋肉”は写真が多いため真知には高価な雑誌ではあったが、3年前から欠かさず購入していて、毎日寝る前にベッドで眺めるのが日課となっている。
ただ、真知も女の子。自分のすべてをさらけ出すことには、抵抗があるのも自然な感情。
ヒーローお宅であることに関しては、世間の女の子にもそこそこ存在するので特に隠してはいないのだが、筋肉好きに関しては男性の素肌と言うこともあり、未だ誰にも言うことが出来ずにいた。もちろん家族にもである。
もし、どちらか一つの選択を迫られたなら、恐らく真知は、0.5ずつと答えるだろう。
そのくらい、”非現実のヒーロー”そして”現実の筋肉”共にどちらも欠くことの出来ない、愛すべきものなのである。
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