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見ろ鋼門《こうもん》
真知は夕食後、直ぐに自分の部屋に戻り、お婆さんから貰ったプロテインXの小箱を手に取った。
「プロテイン X(ヒーローペプチドコラーゲン配合)ってか~。赤色の帯のは飲んじゃダメなんだっけ。でも、何で心配はいらないと言っときながら、飲んじゃダメなものまで一緒にくれたんだろう?」
と思いながらも。取り敢えず裏側に掛かれた説明書きを読み始める。
「”用法容量”か~、何々。
”1日1回1袋まで。2袋は絶対に飲まない事”。ハイハイ。
”熱くなったら1袋を水によく溶かしてお飲み下さい”んっ?
熱くなったら?熱くってどういう意味何だろう?”暑く”じゃないんだ」
意味不明ではあったが、深く考えず次に進む。
「それで、”効能効果”は、え~と、
”漲るパワーと、溢れる闘志で、悪党どもはバッタバタ。効果は5秒で現れ、気持ちが続けば15分間持続します”
???なん、なんじゃろか?この説明書きは。
意~味が分んないや。
もういい、やーめた!」
真知は、面倒になってプロテインXの箱を机の上に無造作に置き、テレビのスイッチを入れる。
丁度、真知の大好きな”見ろ鋼門”の時間であった。
”見ろ鋼門”は勧善懲悪の時代劇で、番組の終盤で鋼門様の家来である”透けさん”と”隠さん”が悪党共をバッタバッタとなぎ倒し、最後に鋼門様が締めると言う番組である。
真知はこの番組を観ると、度々感情を抑えきれずにテレビの前で暴れてしまっていた。その為、この番組だけは必ず部屋で一人で見ることが家族から要求されているのだ。
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