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今夜はゆっくり休むように言い、月曜日の仕事が終わったら、本格的にサービスを開始しようと持ちかけた。
また、辛いのであれば、“失恋休暇”すなわち仕事を休んでも構わないとさえ言った。
そうして、〈失恋レスキューサービス〉のプログラムが始まった。
駿のパーソナル・スタッフとしての手腕は、見事なものだった。
“友達”の中でもとりわけお節介なようで、拓也が退社する頃には会社の前で待っており、今後の打ち合わせがてら夕食を共にするように誘った。外食でも、自炊でも付き合うと言い、食材を買い出す間、洗濯や掃除が億劫だと愚痴をこぼせば、一緒にやろうと提案した。
さながら伴走者のように、拓也の生活に介入して来たのだ。
毎日、会社とは別の場所で、仕事とは別の形で、顔を合わせる相手がいる。空き時間に連絡をすれば、すぐに返信がある。
また、自分以外にも積極的に人に会うよう促し、同行はしないが服装や接し方のアドバイスならできると伝えた。
そんな駿との生活は孤独を感じる暇もなく、拓也は、忙しかった大輔といた時より充実しているとさえ感じた。
駿は拓也に関する事をよく記憶しており、2人で過ごす時間は快適だった。サービス提供者としても、プロと評価できるだろう。
やや“恋愛マスター”としての知識が先行した理論的な面もあったが、駿の言うことには不思議な説得力があった。
まるですべてを経験したかのように、拓也の痛みや感情を理解し、進む方向性を示すのだ。
これまで進んで関わる事のなかったキザなタイプでもあり、それでいて同世代の駿と過ごすうち、少しずつだが確実に、拓也の心は安定し、回復していく。
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