healing

毎月の残業時間は
100時間を超えているのだが、
勤務の途中で退勤処理をし、
仕事を続けている。
なんて迂闊に口にできない‥‥
ブラック過ぎるこの事実は。
でもそんなこと、
僕だけがやっている訳じゃない。
うちの部署の誰に訊いても、
その答えは同じだ。
小さな部屋に押し込められた
6人のメンバーが机を合わせて座り、
月曜日から金曜日、
キーボードのタイピング音と
時折漏れる溜息をBGMに
朝から終電間際に至るまで
罪な時間を嫌々ながら共有しているのだ。
大学卒業後新卒で入社して、3年目。
プライベートの確保どころか、
明るいうちに家に帰れた記憶がない。
有給休暇は溜まる一方だ。
僕の社会人人生、これでいいのか？
長時間の座り仕事で震えが止まらない
足を引き摺り、毎日終電で帰路に着く。
唯一の癒しは、
寝る前に聴く環境音楽だなんて寂し過ぎる。
ああ、定時で帰りたい。
退勤後に友達と飲みに行きたい。
いや、その前にマッサージに行きたい‥‥。
そんな思いがとうとう限界に達した僕は、
初めて会社を欠勤した。