白球の行方

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***  翌年。慎ちゃんは念願の甲子園に行った。打席は四番。  じりじり照りつける太陽より熱い試合が毎日繰り広げられる。  何をしてても暑い中、どうしてあんなにも動けるんだろう。  慎ちゃんのボールに向けられる直向きな瞳に、惹きつけられる。  ああ。私にはたぶん、一生かかってもこんな表情できない。なんて尊く眩しいのだろう。  真剣でそれでいて楽しげで。そんな慎ちゃんをいつまでも見ていたいと思った。  慎ちゃんのチームは第三試合まで勝ち残った。わが校初の快挙だった。  スタンドも大盛り上がり。私もブラスバンドに合わせて、手が赤くなるのも気にせずにメガホンをたたいて、声を上げた。  空には夏らしい積雲がいくつも浮かんでいて、時折帽子を脱いで額の汗をぬぐうと、日焼け止めのぬるりとした感触がした。  甲子園球場全体が白球の行方に一喜一憂した。
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