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休み明けの一週間は、俺にとって地獄だった。
俺の勝手な妄想がそうさせるのか、二人がより親密になったように見えて、一緒にいると苦しかった…必死に作り笑いをした。
***
俺と華先輩のデートの日。
どこに行こうか悩みに悩んで、気まずくなりにくいだろう遊園地を勝負の舞台とした。
「今度は陽太くんが来られないね〜」と残念がる華先輩に嫉妬しつつも、遊園地デートを楽しむことにした。
ジェットコースターをいつくか乗って、シューティングゲームや園内のゲームセンターで遊んだ。時折いつもの口喧嘩が始まったけど、今日は止めてくれる陽太はいない…。締まらない会話に少し寂しさを感じた。
「ねぇ、風汰。私あれ乗りたい」
華先輩は観覧車を指さした。二人きりの密室にどうしても意識してしまうけど、正面にニコニコと笑顔で座る華先輩は、やっぱり可愛かった。
「…風汰、陽太くんと何かあった?」
鋭い指摘にドキッとして、華先輩の顔を見る。
心配そうに見上げる瞳から思わず目を逸らした。
「何も? 何もないけど…」
「ふーん…そっか」
少し揺れるゴンドラの中、沈黙が流れる。
「あ! 華先輩、ほら下、犬いる」
俺は華先輩が食いつきそうな対象物を目ざとく見つけて、その沈黙を破った。
「え!? どこどこ!?」
「あ〜…、行っちゃった。華先輩、遅いよ~」
「だって…! 無理だよ~こんな豆粒だよ!」
それからは、二人で言い合いしながら笑った。
俺は何となく、こうして華先輩といられるのが最後な気がして、切なくなりながらも最後まで楽しむことにした。
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