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――告白の日。
陽太と話し合った結果、華先輩に直接ではなくメッセージを同時に送ることにした。
彼女にも気持ちを整理する時間が必要だからだ。
メッセージを返すのは「付き合う方」のみ。
返事がなかったら、振られたということだ。
『じゃあ…風汰、これ切ったら華に送るよ?』
「あぁ…分かった」
直前に電話をしていた俺達は、通話を切り、華先輩にメッセージを送った。
『華先輩、ずっと好きでした。俺を選んでくれるなら、返事を下さい』
緊張で手が震えた。
送ってからは、もうどうにでもなれと一瞬気が楽になったけど、望みはないと思いつつもスマホの画面が気になった。気を落ち着かせて、トーク画面を見ると「既読」と告白のメッセージに添えられた。
陽太の方も同じだろう。
***
メッセージが読まれてから、3時間ほど経過した。
時刻はすでに夜10時を過ぎていた。
途中、友達からの連絡が入っては、俺はスマホを布団に投げつけた。
――今はやめろ! 紛らわしい!
気は進まなかったが陽太にメッセージを送った。もしかしたら、もうアイツに返事が届いているかもしれない。
『返事、来た?』
既読がついて、すぐに返信が来た。
――『来たよ』
俺は喉がキュッと詰まる感覚がした。
大きく息を吸い込むと、ため息と共に涙が溢れてきた。
――こうなると分かってただろ。
いつだって優しい陽太を選ぶに決まってる。俺みたいな喧嘩しか吹っかけない奴…誰が選ぶかよ。
溢れるだけ涙を流して、気持ちを落ち着かせると、俺は陽太にメッセージを送った。
『おめでとう』
止まったはずの涙がまた溢れる。
布団に顔を埋めて、漏れ出る嗚咽を掻き消した。
そのうちまた収まって、俺はしばらく抜け殻のようにベッドの上に座っていた。
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