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一階から誰かの声がする。母親の驚いた声だ。
テレビでも観てるのかな…そう思っていたら、階段を駆け上る音が聞こえて、部屋のドアが開けられた。
「…え? 華…先輩、なんで…」
目の前には、長い髪を下ろし、部屋着にパーカーを羽織った華先輩がいた。
目の周りが赤くなっていて、今も涙がポロポロと溢れている。
「あ…俺の事、心配で来た? 大丈夫だよ、振られるの分かってたし…」
俯いて頭を掻く俺に、華先輩は飛びついてきた。
「風汰を選んだの! うぅ…」
「……えぇ!?」
――じゃあ、なんで陽太は…。
俺は片手で華先輩を抱きとめると、もう片方で陽太のメッセージを確認した。
俺が送った「おめでとう」の後に返信が来ていた。
――『何がおめでとうだよ、振られたのは俺だよ(笑)』
華先輩は「ごめんなさい」と、陽太に返事を送ったらしい。俺は込み上げる嬉しさと涙で顔がぐちゃぐちゃだった。
今思うと、陽太がどこまで本気だったのかは分からない。アイツはさり気なくアシストする奴だから。
華先輩がなぜ俺を選んだかは…これからじっくり聞くとしよう…!
*☆終わり☆*
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