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要に背中を押されながら、久しぶりに彼女のいるアパートへ来た。「ただいま!」と元気よく入っていく要の後に、俺の姿を見た美姫さんは、安心したような笑顔を見せた。
「美姫さん…俺、やっぱりきみと、要と3人で一緒になりたいんだ」
勇気を出して、再びリングケースを取り出した。
目を瞑り、祈るようにして蓋を開ける。
「あっ…!」
四ツ葉のクローバーを見た美姫さんは、口を抑え泣き出した。俺はその反応に少し驚いたが、泣いてる彼女を優しく包むと、もう一度耳元でプロポーズをした。
――答えは「YES」だった。
隠れて見ていた要が嬉しそうに声を上げ、俺達に抱きついた。
後から要に聞いた話では、要と美姫さんはよく四ツ葉のクローバーを見つけては栞にしたりして「幸せ見つけたね」と言っていたらしい。
リングケースの中の四ツ葉を見て、息子の後押しがあると分かってくれたのだろう。
今は、出番を取り上げられた指輪も彼女の左手薬指に誇らしげにはまっている。
もう一つのシンプルな指輪も一緒に…。
ずっと一緒にいよう、お互いが白髪になるまで――。
*☆終わり☆*
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