始まる! 恋のバトル

1/4
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ

始まる! 恋のバトル

「え〜、じゃあグループごとに分かれて清掃して下さい。くれぐれも! 海に入って遊んだりしないように〜」 「はーい」 地域交流の一環でボランティアの方々と一緒に、地元の高校の生徒会、部活動の生徒数十名が集められ、砂浜の清掃に当たっていた。 「桃田〜! あっち行こうぜ〜」 俺は猿渡(さるわたり)に呼ばれて、ゴミ袋を手に砂に足を取られながら駆け寄った。 「犬飼(いぬかい)雉岡(きじおか)は?」 「あぁ、トング貰いに行った」 ボランティアのおじいさんからトングを2つ貰った二人が、それを高々と掲げながらこちらへ走ってくる。 「うわ〜、あいつらアホっぽい」 俺と猿渡はケラケラと笑った。 俺達の部活はそれぞれ違うけど、同じクラスのイツメンだ。 話の流れで始まった「男気じゃんけん」で俺が勝ち、こいつらにジュースを奢ったのが、仲良くなったきっかけだった。 ペットボトルや古い漁網、どこかの国の漂着ゴミ。 目立つゴミを次々と拾った。海開きをした後にはきっとまた増えるんだろうな。 俺達はゴミを拾い集めながら、実のない会話を楽しんでいた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!