19人が本棚に入れています
本棚に追加
「そっか〜、桃田マジで岡山さん好きなのか~」
笑いを含めて雉岡が言う。
改めて言われると気まずいからやめて欲しい…。
「桃田、今チャンスじゃない? 行って来いよ」
グループから少し離れた岡山さんを見て、急かすように犬飼が言った。
「なんでだよ! いいよ!」
俺は彼女を見ないように背を向けたが、猿渡に肩を掴まれ戻される。
不自然に岡山さんへ近づけようとする様子を、彼女はキョトンと見ていた。
三人はある程度近づいた俺を置き去りに、テトラポットの方へ逃げ去った。
最悪だ…岡山さんに変な奴って思われたかも。
心折れそうになる俺のもとへ、意外にも彼女の方から近づいて来てくれた。
「桃田くん、何かあった? ゴミ袋足りない?」
「あっ…、いや、その…うん。貰おうかな~」
――全然足りてる。でも、そう言うしかなかった。こうなったら意地でもあいつらにゴミを集めさせてやるからな!
岡山さんは、ふんわりとした笑顔で袋を1枚渡してくれた。あぁ…これぞ女神よ。
「頑張ってるね、ありがとう」
お礼まで言ってくれる岡山さんを俺はますます好きになった。彼女はまた生徒会グループへと戻っていく。
ふわふわとした気持ちのまま、ゴミ袋を握りしめ犬飼達のもとへ帰った。
最初のコメントを投稿しよう!