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赤と青、二人の涙
高校一年の春、出席番号順で並んだクラスの座席。
名字が同じ「あ行」で、前後の席に俺達は座っていた。
俺は「赤城」、あいつは「青砥」。
青砥は色白でシャープな顔立ち、男としては小柄で、少し長めの髪型のせいか中性的に見える。俺は青砥のどこか儚げな目が好きだった。
対して俺は、色黒で筋肉質。身長も180を超えるからクラスでも少し目立っていたかも知れない。わりとどんなタイプとでも仲良くなれたから、クラスで異色を放つ青砥ともよく話した。
「お! 青砥、一緒に帰ろうぜ」
入学してから数ヶ月後。
帰り道で青砥を見かけて声をかけた。
青砥はいつも無表情だけど、俺と話す時は少しだけ笑顔を見せる。
「青砥って休みの日とか何してんの?」
「えっ…別に…」
「誰かと出かけたりしねぇの?」
俺の質問に少し間をおいて、首を横に振った。
「今度さ、買い物付き合ってくんね? 一人だと結局買わずに帰って来ちゃうんだよな〜」
「…うん、いいよ」
俺は青砥とやっと連絡先を交換した。
前から遊びに誘ってみたかったんだ。青砥が普段はどんな奴なのか興味があったし、楽しませたいという思いもあった。
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