赤と青、二人の涙

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土曜日の昼に青砥と出かけた。 昼飯を食べ、俺がよく行く店に入り買い物をした。 気に入った服を見つけては、お互いに勧め合った。 学校よりも青砥はずっと明るかったし、俺の話を笑って聞いてくれる。 「また行こうな」と別れ際、声をかけると笑顔で頷いてくれた。 また行けると思っていた。 ――あの日を迎えるまでは。 *** 月曜の午後、廊下を歩く俺のもとへクラスメイトが駆け寄ってきた。 「赤城、お前変な噂立てられてるって!」 「え? 何、変な噂って…?」 立ち止まり、彼の話を聞いた。 誰かが土曜日に、俺と青砥が二人で街を歩く姿を目撃したらしい。友達同士出かけるのは、何もおかしくない光景なはずだが…。 「お前…知らない? 青砥が男が好きって話」 「…知らないけど」 「中学の時からそんな噂があって…だから、お前と青砥が一緒にいたのを見て、カップルだとか言ってるらしいぞ?」 俺は自分との噂より、青砥が「男が好き」と確証のない話を広められていることに腹が立った。 本当のことだとしても、誰かが勝手に広めていい話ではない。 席替えで青砥と離れてしまっていたが、俺は噂なんて気にせず話しかけに行った。 後ろの方でヒソヒソと小声で話す声が聞こえる。 青砥はちらりと俺を見て、すぐ視線を外した。 話を聞いているのかいないのか、あまり相槌もなく会話が一方通行に終わっていく。 チャイムが鳴り始めると「席、戻ったら?」と青砥に言われてしまった。 噂を気にしているのだろうか…急に冷たくなった態度に、俺の心は(しぼ)んでいった。
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