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その日の夜、俺は青砥にメッセージを送った。
『何か怒ってる? 何かしたならごめん』
無視されるかもしれないと半分諦めていたら、すぐに返信があった。
『怒ってはないよ。でも僕達、学校で話すのはやめよう』
俺はすぐに「なんで?」と返事を打った。
『僕といるときみに悪い噂が立ってしまう。僕はそれが嫌なんだ』
やはり青砥にも、あの噂は届いていたんだ。青砥はこれまで、どれだけ嫌な思いをしてきたのだろうと、俺はまた沸々と静かな怒りが込み上げた。
『噂なんて気にするなよ。俺達は友達だろ? 俺は、これからも仲良くしたいと思ってるよ』
すぐに返信は来なかった。時間が経ってからようやく届いた青砥のメッセージに俺は悲しくなった。
――『僕は違う』
それからはクラスでも、帰りに青砥を見かけても話しかけなくなった。噂もすぐに消え去って、俺と青砥が冷やかされることはなくなった。
青砥はいつも一人、窓の外を眺めていた。
学年が一つ上がるとクラスも替わって、青砥と関わり合うことはなかった。
廊下ですれ違っても、目すら合わない。
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