手を伸ばした先、

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「ぅ、それが出来たら苦労はしてないよ!」 今まで、 何度オーディション受けてもダメだったのに。 なんて鬼な発言...............っ。 そう思っていると。 「あー、そういう意味じゃなくて〝今〟」 明らかに〝今〟を強調する芭瑠くん。 「そっ!そんなの簡単にっ‼︎」 そう言って1歩近づいた瞬間。 ──────ちゅっ。と、 音を立てて、くちびるに触れた柔らかい感触。 ドアップに、 芭瑠くんの顔が見えて、私は思い出した。 『これ以上、近づいたらキスするよ』 芭瑠くんがそう言っていたことを。 「これからは、 こーやって近づいて、僕に手を伸ばしてよ」 くちびるが離れたあと、 耳元でわざとらしく囁いた芭瑠くん。 「.........っ、意味、分かんないっ、」 芭瑠くんが分からなくてそう告げれば。 「一般人と芸能人でいいよってこと。 だから、もうチューしたし、愛莉は彼女だよ」 そう言って、 今度は私のおでこに落とされた温もり。 手を伸ばした先、 そこにいるきみはキラキラ輝く芸能人。 だけど、──────私の〝彼氏〟 fin.
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