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笑い話のように聞こえますね。
しかし、じゃあこの、「子供に小説を読ませるのは危険」論、全くの的外れかというと一概にそうもいえない事実もあって。
例えば、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」という小説は「ウェルテルという男が女に振られたショックで自殺する」という、言ったらそれだけの話なのですが、これを読んで、「本当に真似して自殺した」人がたくさん出て問題になったのです。
他にも、アガサクリスティーのある推理小説で、毒殺のトリックが書かれており、これが、当時は薬局で売られているもので簡単にできてしまうものだったので、これを参考にして「本当に気に食わない奴を毒殺してしまった」人もたくさん出て問題になったのです。
これ以降、推理小説には「社会的安全弁」という考えが生まれ、トリックは、「真似しようとしても絶対に失敗する」ように書かれなければならない、という暗黙のルールになったのです。
ここからは想像ですが、他にも、例えば、ドストエフスキーの「罪と罰」では、主人公の青年は「自分は神に選ばれた人間だから何をしても許される」というような思想を作り上げて、納屋からナタを引っ張り出して近所の悪どい金貸しの婆さんをぶっ殺してしまうのですが、ここまで読んで、本当に「真似して納屋からナタを引っ張り出して近所の嫌な奴をぶっ殺してしまった」人とかももしかしたらいたかもわかりませんね。
ロシア繋がりで、トルストイの「アンナ・カレーニナ」という小説は、これも「アンナ・カレーニナという女が男に振られたショックで自殺する」という言ったらそれだけの話なのですが、これも、真似して自殺した女も現実にいたかもわかりません。
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