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試合に出られないとしても、3年生の最後は、3年間苦楽を共にした12人全員でグラウンドで喜びも涙も分かち合いたい。
自分一人だけスタンドで、仲間が喜び、涙するのを見るのだけは絶対イヤだ。
流石に3年生最後の大会なら、監督も気を遣ってベンチ入りさせてくれるのではないか…。
そう考えたこともある。
だが、昨年の3年生も、最後の大会に後輩に背番号を奪われ、ベンチ入りさせてもらえなかった先輩が2人いた。
去年就任したこの監督は、“忖度”とか“3年生の思い出作り”とかには一切関心がない、ドライな監督なのは間違いない。
他の高校では、3年生最後の試合で、もう負けるのは確実…となった場合、代打や代走、守備固めなどで、ベンチ入りしながらそれまで試合に出られなかった3年生を、3年間頑張った思い出作りとして試合に出す監督も多い。
ただこの監督は違った。
昨年の夏の大会の最後の試合、その大会で試合に出ていない3年生はあと一人だったのにも関わらず、最終バッターとして代打に指名されたのは、2年生の部員だった。
“最後まで勝負に徹する”
そんな監督だ。
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