9月−② 悠子の企み

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「今日から一週間、緑たち3人には手を繋いで登校してもらいます」 満面の笑みを浮かべる悠子の言葉に、少しの沈黙が流れる。 多分みんな予想外の内容に理解が追いつかなかったのだろう。 だってとても不思議な罰ゲームだ。 「最悪……」 最初に口を開いたのは里中君だ。 「え、俺はいいよ?緑ちゃんは?」 嫌そうな顔をする里中くんとは反対に、玲君はなぜかウキウキした顔でわたしに聞く。 だからようやくわたしの頭も動き始める。 「や、え?ええ……恥ずかしいよ。だって登校ってことはみんなに見られるんでしょう?」 「まあ、罰ゲームってそういうものでしょ」 「美紀までそんなこと言わないでよー!」 「せっかくなら一ノ瀬が真ん中で、両手に花?嫌、こいつらじゃ花ではないか」 「もう、よっしーまで面白がってる!」 困り慌てるわたしを美紀とよっしーがケラケラ笑う。 わたしだって罰ゲームと言われれば、絶対に嫌ってわけではない。 きっと学校のみんなの注目を浴びたとしても、笑い話で終わるだろう。 だけど……さっきから一人黙ったままのハル君にこっそり視線を向けた時、村上君が「ハル」と声をかけた。心臓が止まるかと思った。 だって机に肘をついたハル君と、迷うことなく目があったから。 まるでずっと見られていたみたいに。 「……無理」 ハル君が口にしたのはたった二文字。 不機嫌そうなその表情に、わたしは慌てて頭を回転させる。 無理……無理って、どういう……。
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