17人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日から一週間、緑たち3人には手を繋いで登校してもらいます」
満面の笑みを浮かべる悠子の言葉に、少しの沈黙が流れる。
多分みんな予想外の内容に理解が追いつかなかったのだろう。
だってとても不思議な罰ゲームだ。
「最悪……」
最初に口を開いたのは里中君だ。
「え、俺はいいよ?緑ちゃんは?」
嫌そうな顔をする里中くんとは反対に、玲君はなぜかウキウキした顔でわたしに聞く。
だからようやくわたしの頭も動き始める。
「や、え?ええ……恥ずかしいよ。だって登校ってことはみんなに見られるんでしょう?」
「まあ、罰ゲームってそういうものでしょ」
「美紀までそんなこと言わないでよー!」
「せっかくなら一ノ瀬が真ん中で、両手に花?嫌、こいつらじゃ花ではないか」
「もう、よっしーまで面白がってる!」
困り慌てるわたしを美紀とよっしーがケラケラ笑う。
わたしだって罰ゲームと言われれば、絶対に嫌ってわけではない。
きっと学校のみんなの注目を浴びたとしても、笑い話で終わるだろう。
だけど……さっきから一人黙ったままのハル君にこっそり視線を向けた時、村上君が「ハル」と声をかけた。心臓が止まるかと思った。
だって机に肘をついたハル君と、迷うことなく目があったから。
まるでずっと見られていたみたいに。
「……無理」
ハル君が口にしたのはたった二文字。
不機嫌そうなその表情に、わたしは慌てて頭を回転させる。
無理……無理って、どういう……。
最初のコメントを投稿しよう!