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「あ!ハル君は違うチームだから、罰ゲームないよ?」
もしかしたら自分も罰ゲームをやると勘違いしての「無理」なのかもしれない。
だってきっとハル君は遊びでもそんな姿見られたくないだろうから。
そう考えた末のわたしの言葉に、ハル君は目を丸くした。
それから「一ノ瀬さんは頭が悪い」と悪態をつく。
ハル君からの思わぬ言葉に、今度はわたしが目を丸くする番だ。
「だってハル君が無理って言うから、もしかしたら勘違いしているのかと思って」
どうすればいいのかわからず混乱するわたしから、ハル君の視線が離れていく。
呆れられた?嫌われた?何か言わないと……!
慌てて正解の言葉を探すわたしの隣に、誰かが立つ気配がした。
だから横を見ると、里中君だった。
「いいよ。その罰ゲーム、一週間やるよ」
さっきまで嫌がっていた里中君が、ハル君を見下ろしながらそう言った。
だけどハル君は黙ったままで、ただ不機嫌そうな視線を里中君に向けた。
「ちょっと里中君!さっき嫌って言ってたのに裏切らないでよ!」
「仕方ないだろ、罰ゲームなんだから」
「そうかもだけど」
「それとも一ノ瀬は俺と手を繋ぐのがそんなに照れるのか?」
ニヤリと笑う里中君は、完全にわたしを揶揄っている。
「そんなことあるわけないし!里中君こそわたしにときめいちゃうかもよ?」
「バカか?あるわけないだろ」
「いひゃい」
里中君がわたしの頬をブニブニと抓るから、みんながまた笑い出す。
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