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十六夜の月
或る日の夜の事だった
彼女が向ける視線は、コンクリートの無機質な固さに似た優しさに隠れた、感情の中にある謎が秘められているように感じた
僕はその中で彼女の内に吹き抜ける砂塵が僕の肺を満たし尽くし、その息苦しさに心地よい目眩を覚えていた
彼女は唐突に
「なに?」と投げかけてきた
僕は「別になんでもないよ?」と返す。
君は軽く微笑し僕から目を逸らした。
きっと彼女は何も見ていないのだ、、、
目の前にある幸せは時として私を困惑させる
それぐらいの自意識は持ち合わせているつもりだ。
私はその程度の人間でしかなかった
彼女の微笑は私の自嘲に他ならない。
それが彼女の優しさなんだろう。
その瞬間初めて彼女は僕に
「愛してる、、」と言った
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