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それから、およそ3年のときが流れた。
世界は魔族によってさらに荒廃している。
魔王の城に向けて出発することを認められた一行が深い森の向こうに微かに覗く魔王の城を見つめていた。
朝日に照らされて伸びた影は5つだ。
金髪を結い上げ、輝きと深みを帯びる碧眼の剣士は悠々とした空気をまとっていて、経験を積み重ねて自信を培ってきたことを感じさせる。
エレルランドのそばには、何度も任務を共にしてきた武術家、白魔術師、機械整備士の3人がいる。
そして、エレルランドと喧嘩別れしてから、国軍に入隊して自らを鍛え上げてきたレンファンが少し離れて立っていた。
エレルランドがよく響く声で言う。
「ようやくここまで来られたな。みんなのおかげだ」
それを聞いた3人が頷いた。
「そんなことを言うようになったのか、エレルランド。」
レンファンが面白がるように言った。
「俺も大人になったんだ。レンファン、改めて、あのときは君を軽んじていた。申し訳ない。こうしてまたパーティーの一員になってくれて感謝している」
エレルランドがレンファンの目を見て言った。
「へえ。人ってこんなに変わるのか。僕も成長したから、魔法使いとしての実力はもちろん、口でも負けないようになったぞ」
「それは頼もしい」
レンファンは懐(ふところ)から小瓶を取り出し、黄色の錠剤を1つずつ配っていった。
「これ、あの頃いつも口にしていたよな」
エレルランドが懐かしそうに言った。
「ああ。これ、薬じゃなくて砂糖菓子なんだよ。あの頃は食べ過ぎていた。オーバードーズには要注意だ」
黄色い錠剤のような見た目の砂糖菓子を口に放り込んだ一行は、脳を刺激するような甘さを共に楽しんだ。
彼らが魔王に挑み、世界に平和をもたらすのは、また別のお話。
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