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【煌めく涙】
「あっちに行っても
ずっと好きだから」
「うん、待ってるよ」
その会話は
宙に浮かんだまま
キミが行きのチケットしか
持っていなかったのも
今考えれば
そうなんだろう
環境は人を変えるというが
それは本当なんだと
身をもって知った
僕は変わっていないから
変わったのはキミなんだろう
もう僕には興味が無いと
そう言って
最後の誠実さを残して
もう手の届かない所へ
僕は酒に溺れた
悲しみに暮れ
気づけば日は昇っていた
救い出してくれたのは
友人だった
それからは
涙に暮れた
それはとどまる所を知らず
いつしか洪水のようになって
僕は涙の川に溺れた
それは美しく輝き
空を見上げれば
壮大に広がっている
宙に浮かんでいた
心に引っかかっていた
あの会話も
あの蟠りも
高く高く昇っていって
あの川の流れに
流されていく
それは僕とキミの逢瀬を
妨げるために
広く、長く
キミからもこの川は
見えているのだろうか
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