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相変わらずタンクトップに白いエプロン姿のカゲロウが馬車から出てきて私達の方に近寄ってくる。
なんでだろう?
それだけで嬉しくなる自分がいる。
「ちょっと失礼」
カゲロウは、大きめの包丁を使ってローストチキンを丁寧に切り分けていく。
白く湯気と共に芳醇な肉と甘いタレの香りが広がる。
あれだけ拒否反応を示していたディナとサヤも目を輝かせる。
カゲロウは、お肉を丁寧に切り分けてメイドの用意した白い皿に乗せていく。
メイドは、受け取ると主人のマダムから順に配っていく。目の前に置かれるだけでみんなの目の輝きがさらに増す。
最後に私の前にお肉が置かれる。
純白のお皿と濃厚なタレにつけて焼かれたお肉の色合いは生まれた時からこの姿と言われても納得するくらい美しい。
「おかわりならたっぷりあるから好きなだけ食べてくれ」
カゲロウは、無精髭の生えた口元を小さく釣り上げる。
「さあ、冷める前に頂きましょう!」
マダムの声を合図にみんなが一斉に「頂きます!」と叫んで食べ始める。
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