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私は「なんでもありません」とそっぽ向く。
「ちなみに旦那さんにも同じものを届けときましたよ」
そう言って悪戯っぽい笑みを浮かべてマダムを見る。
グリフィン卿は、今日もメドレーの宿舎で業務に追われているから本邸に戻れないらしい。
「そう。喧嘩しなかった?」
「なんか色々言ってたけど無視して帰ってました」
喧嘩・・・想像しようとしたが怖くなったのでやめた。
執事とメイドが濃い緑色の瓶を持って私達の席を回ってグラスに飲み物を注いでくれる。
綺麗なワイングラスに気泡の浮かんだ黄金色の飲み物が注がれる。
「ノンアルコールの林檎のシャンパンよ。安心して飲んで」
マダムは、そう言って自分もノンアルコールのシャンパンを飲む。
身体を壊してからもうアルコールは摂取していないそうだ。
「カゲロウ君は遠慮しないで飲んでね。いいワインを用意しといたわ」
カゲロウの側に執事が立ってワイングラスを手渡す。
「ありがとうございます」
カゲロウは、遠慮なくグラスを受け取ると執事がゆっくりと瓶を傾ける。
私達と同じ黄金色だが気泡の浮かんでない飲み物が注がれる。
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