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「ねえ、青春ちゃんはどちらを応援しているのかしら?」
幸運の女神が微笑めば、そのお顔の周りに光の粒がキラキラキラリと弾けて、地上へ降り注ぐ。
するとほら、人間界ではアイスキャンディーの当りを引いた者がいる。晩御飯をカレーにすると決めたお母さんがいる。
彼女が笑えばどこかで何か、いいことが起きるのだ。
「うーん、どっちも頑張って欲しいですねっ」
青春の女神が微笑めば、そのお顔の周りに桜やタンポポの花弁がふわふわふわりと現れ、地上へ舞い落ちる。
するとほら、席替えで初めてあの子の隣になれた男子がいる。高い場所の本を取ろうとしたら長身男子が助けてくれた女子がいる。
彼女が笑えばどこかで何か、アオハルが起こるのだ。
そんな彼女達の微笑みが生み出す有難い光の粒や花弁は、欲に目が眩んだ「天売ヤー」によって神界のネット上で売られたりするが、ガセも多い。
幸運の女神ではなく「耕運の女神」の物だったりするが、神のアイテムにハズレはない。必ず何かの役に立つので、もし入手したなら大切にして欲しい。
さて、小さな別荘の中には、人間をダメにしそうなふかふかな雲の絨毯が敷かれ、ベッドに変形してゲームも出来る豪華な光る椅子が五つ並んでいる。
「幸運の女神様と青春の女神様がお越しになられました」
先にお待ちになっておられた女神様が振り向く。
その口元は他の女神様とは対照的に、きりりと固く結ばれていた。
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