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「やあお久しぶり。皆で共にこの日を見届ける機会を得て私は幸せだ」
背中に広げた白い翼、ドレスより似合う金銀の鎧。身も心をも鍛え磨いた、強き瞳の涼やかさ。
ひたすら凛々しく勇ましく、厳しく、されど暖かく。
聖剣を手に声を上げれば、天地魔界が一つとなってコール&レスポンスが響き渡るだろう。
燃える様な赤い長髪は、彼女が微笑むとき虹色に輝き栄誉を讃えると伝う。
炎を統べる神の一人でもあるこの方こそ、正邪を超えた真のヒーロー。その名も猛き勝利の女神である。
(はああかっこいいいい!)
三人の胸に同じ言葉が、効果音付きで飛び込んで来た。
「……っと、さあさあ皆様席にどうぞ」
微笑みながら運命の神が椅子をすすめる。
左から青春、勝利、幸運の女神と仲良く並ぶが、椅子は五つ。運命の神が座っても一つ余ってしまう。
「やっぱりあの子は来ないのですね、青春ちゃん」
「まあ、あの子はわがままって言うか誰も縛れませんからねっ」
「仕方ないですね、さあ始まりますよ」
運命の神が指を鳴らすと照明が暗くなり、部屋の壁全体に誰もが知るあの球場が映し出された。
「わーーーいっ!」
「やだもうドキドキですのよ!」
そう、特別に暑くて熱い一日。
今日は高校野球、夏の全国大会の決勝戦!
これを見届ける為に、運命の神の招待を受けて神々はお集まりになられたのだ!
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