夏を引き留める方法

「その新しい夏が来るまでの間は？寂しくならないの？」

「だからこうやって、思いっきり夏を楽しんでんだよ。たくさん思い出を作っとけば、夏が終わってもいつでも思い出せる。そうすれば、心の中にはいつだって夏がよみがえる。わざわざ引き留める必要なんかないんじゃない？」

「よみがえるって！瞬ちゃん、カッコつけすぎじゃない？」

「うるせー！とにかく、夏には夏の都合があんだから、黙って行かせてやれよ」

　瞬ちゃん……何てカッコいいんだろう。大人びた発言をしてからかわれる瞬ちゃんの思考を、私は尊敬した。

「お姉ちゃん、都会から来たんだろ？」

「うん、そうだけど……」

「都会の人は俺らみたいに夏を満喫する方法を知らないんじゃない？」

「えー！可哀想！」

「仕方ねえなぁ。特別に俺らが、真の夏の楽しみ方ってやつを教えてやるよ。ついて来られるか？」

「は、はい！頑張ります。よろしくお願いします！」

　瞬ちゃん達に深く頭を下げ、私は2日をかけて夏の楽しみ方をご教授頂いた。