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子どもの時以来の虫とり。構え方が違うと怒られ、汗をダラダラ流しながらやっと捕まえた蝉一匹。涼む為に足をつけた小川。その冷たさに思わず悲鳴を上げる。おばあちゃんが持ってきてくれたスイカをみんなで頬張る。誰が遠くに種を飛ばせるかで競う。沈む夕陽を眺め、染まる空の色が一体何色なのかについて議論する。夜、おばあちゃんの家の庭で花火をする。誰の線香花火が一番長持ちするかで勝負する。次の日は信じられないぐらい朝早くから行動を開始。この田舎でできる夏のアクティビティを思う存分満喫した。
帰る時間には、もう体はクタクタ。しかし瞬ちゃん達は底なしの体力を持っているのか、まだ走り回っていた。
「えー!もう帰るのか?」
バス停の前でみんなに別れを告げると、本気で名残を惜しんでくれた。
「瞬ちゃん達のおかげで、これでもかってぐらい夏を楽しめたよ。ありがとう」
「じゃあ、心の中に夏の思い出を貯められたんだな?これで夏が終わっても寂しくないな?」
「うん!季節は変わっちゃうけど、私の心の中にはずっと瞬ちゃん達と過ごした夏がいてくれる。だから全然寂しくないよ」
「来年も絶対来いよ。まだまだ教えなきゃなんねぇ事があるんだからな」
「はい!師匠!」
瞬ちゃん達は、私の乗ったバスに追いつけなくなるまで走って見送ってくれた。その優しさ、純粋さに思わず涙が溢れそうだった。
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