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「ナーコより難しい、何で懐いてくれないの?エッチもしたし、あんなに一緒にいたじゃん!」
「ちょっ、声大きいよ」
「何で勝手に離れるの?寂しいじゃん!俺ひとりじゃナーコを育てらんないよ!」
「いやいや、頑張りなよ。もう基本は押さえたでしょうが。私の手を借りなくても……」
「無理だもん!」
だもん、ってアンタ……。
「だからさ、ナーコを友達に譲ろうと思ったんだよ。ポンコツな俺と一緒にいたら可哀想だから……けどさ、ナーコが居なくなったら、津島さんがもう俺んとこに来てくれなくなるかもしれないじゃん、それに気付いてさ、そんなの嫌だと思ってさ、撤回してきた!」
彼は琥珀の瞳を潤ませて、じっと見つめる。まるで、あの日の捨て猫のように。
「お願いします。俺と一緒にナーコを育てて」
「あー……ええ……っと」
これは、どう返事をして良いものか。
彼が向ける感情をどう理解したら良いのだろう?
「それは、あの、友人としてでよろしいでしょうか?」
「これまで通りだよ」
「エ、エッチは無しでも?」
「駄目に決まってるよ!するに決まってるだろ、何言ってるの?!」
これまた堂々と……何だか私が変な事を言ってるような感じになってるんだけど、解せぬ。
私は深呼吸し、彼に向き合った。何にせよ気持ちを打ち明けるには最適な場面であることは間違いない。彼の今後を考えても、はっきりと言っておいた方が良いだろう。
「あのね、この際だから言うけど、女の子の気持ちを弄ぶような真似はやめた方が良いと思う。これまで見掛けだけで寄ってこられて散々傷付いたって話は聞いたけど、だからって他人を同じように傷付けていいわけがないでしょ。割り切って遊ぶのは勝手だけど、そうじゃない相手は見極めなよ」
「そんなこと知ってるよ!」
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