私はヘタレに恋してる

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私はヘタレに恋してる

「先輩、また振られたんですか」  大衆居酒屋のテーブル席、会社員がわいわいしながら飲んでる金曜日。  豪快にビールを飲みながら、私は目の前にいる5秒見つめられたら、恋に落ちそうなくらい正統派なイケメンの藤谷先輩にそう吐き捨てる。 顔はいいんだよな、この人は。 「そうだよ、またっていうな」 「私が知る限りでは片思い含め計10人目ですよ?二桁はやばいです。あ、お祝いします?」  ここにケーキはないから、アイスクリームかな? メニューをパラパラめくって見てみる。 「おい、数えるな!やっぱ彼女とバイトと学業の両立は難しいもんだよな」  先輩は、肘をついて長いまつげを下に向けていた。羨ましいくらいぱっちりな二重を、伏せ目にしてビールを片手にため息をついてる。  いつもの光景に、ため息をついて唐揚げを一口頬張った。  高校の1つ上の先輩、藤谷渉さん。片田舎から上京してきた地元の上京メンバーの1人。ヴァイオリンが上手で音大に通っている。  たまたま近くのアパートに住んでいて、一応高校の時から顔見知りだった。 というのも、高校の時に遡る。
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