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恋に現は抜かせない
高校の屋上、週に2回お昼休みに先輩と会って作戦会議をしていた。
天気のいい日は外、悪い日は屋上に行く階段の踊り場、まぁ二人きりで作戦会議できたら場所はどこでもよかったんだけど。
『名前は聞き出せましたか?』
『駄目だった』
今日は天気がいいから外だった。先輩はお弁当を食べながらため息混じりにそういった。
『いったい、いつ名前を聞き出すんですか?』
『俺も知りたい。なんかタイミング掴めなくて』
先輩、名前聞く前に卒業しちゃうんじゃ……?
それくらい初というか……、ヘタレというか……。
かっこいいくせにどこか自信ないんだよなぁ。
私と向い合せの先輩はご飯を平らげて楽譜を眺めていた。次ある定例会の曲らしい。ソロもあるらしくて、マーカーやら赤ペンでたくさんメモしてある。
私と出会ってから、一ヶ月経っていた。週に一回くらいは聴きに来てくれてるんだよね?
名前も聞き出せないなんてことある?
私のほうがため息を付きたくなるわ。
『そんな先輩のために!この橘がちゃんと調べてきましたよ〜』
私はB7サイズのノートを取り出した。相手の情報、プロフィールを書き込んであるものだ。
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