恋に現は抜かせない

2/8
前へ
/131ページ
次へ
『すごいな、』 『そりゃ、頑張る人の背中は全力でおしますよ』 そんなやりとりをした。  名前、ど田舎でもいけるデートのプラン、告白のシチュエーション、何パターンも考えて、それを書き出した。それでノートの半分は埋まっている。 少女漫画か、小説を一本しっかり書けるくらいのネタ帳になってる。  そのノートは、結局使われたか定かじゃないまま、私が先輩のネクタイと一緒にクッキー缶に大切にしまってあって、上京したとき一緒に持ってきた。  缶の蓋を開けてたまに見返すと、高校生だな〜って実感する内容で恥ずかしくなる。 それを、使うときがまた来るなんて思っても見なかった。  大学の最寄駅は、私の住んでるアパートの反対側にある。  ちょっと小洒落た町並みをしてて、一角にNYスタイルのおしゃれなカフェがある。店内には大きなガラス窓があって、オープンエアで解放的。カウンター席にはコンセントがついていて勉強しやすくなっている。  私は、月に一回そこにいって勉強しつつ美味しいカフェラテを飲むのが楽しみになってる。  今日は月1のお楽しみの日、勉強道具をリュックに入れて自転車を走らせていく。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

811人が本棚に入れています
本棚に追加